[労働審判体験記:9]第一回目の労働審判

ハロー、おかえり同士。

このブログでは、会社を解雇されてから労働審判で決着までの実体験を書いています。

この記事では第一回目の労働審判の内容を記載しています。

すべての内容は下記記事から参照できます。

労働審判が開始されました

裁判長「これより、第1回○○、○○号労働審判を開始します」

裁判長から宣言があり、労働審判が開始されました。

今回番号が2つあるのは、僕と会社の双方が労働審判を起こしているためです。

正直、なかなかないケースだと思います。

※会社側からの申立についてはこの記事を参照のこと

裁判長「まず、双方が申し立てた事件が同じため、統一しようと思うのですが、いかがでしょうか?」

と、1つの労働審判で2つの事件を扱うかどうかの提案がなされました。

別々にした場合のメリット・デメリットはこんな感じです。

・解決金の二重取りができる可能性がある
・2回労働審判が行われるので、純粋に裁判所に足を運ぶ回数が倍になる
・別件になるので追加の弁護士費用が発生する

申し立てた時の記事に書いた通り、お金に余裕がなくなっていたので追加費用が発生するのは厳しいです。

二重取りも可能性があるだけで確実ではないし、内容は同じのため同一の事件として扱うことに同意しました。

会社も同様で、これにより1つの労働審判で同じ事件が扱われることになりました。

労働審判前の書面でのやりとり

労働審判までに裁判所に送られた申立書や答弁書、証拠書面に互いの主張内容はすべて出しています。

書面をみればほとんど主張内容はわかるので、労働審判委員会は詳細に聞かずさらっと事件の内容を双方に確認します。

最初に、双方が提出した申立書に記載された示談金の金額に違いがあったので裁判長が会社に訪ねます。

会社側は当初、示談金30万円までなら出すと言ってきたのですが、これは低すぎて当然拒否。

すると「60万円が限度、これ以上は出せない」と金額を変えた回答があったのですが、やっぱり低いことには変わりないので労働審判に踏み切りました。

このことをこちらは申立書に書いたのですが、会社側は「30万円での示談を労働者側が拒否した」としかなく60万円の記載がありません。

これについて会社側に裁判長が訪ねます。

裁判長「労働者側の『会社は30万円を提示後60万円を提示』会社側の『30万円を提示』正しい額はどちらですか?」

というものだったのですが、回答がちょっとびっくりでした。

相手弁護士「この額は我々代理人(弁護士)の判断で提示したものです。会社が提示した額は30万円です」

いや、勝手に提示したってダメでしょう。

会社と連携うまくとれてない状態で審判に臨むのか…とびっくりでしたが、審判は進み、解雇理由について触れていきます。

解雇理由について聞かれました

会社の主張する僕の解雇理由は「能力不足と、その改善が見込めないこと」プログラムの改ざんにより会社に損害を与えた」です。

会社がエクセルの表にまとめた解雇理由のうち一つに「その日作成したプログラムの一部に間違いがあり、完成に時間がかかっていた」というのがありました。

確かにミスに気づかないままコードを書いていたのは事実です。

しかし、作業内容はすべて上司に確認してもらっており、コミット(サーバ上への保存)はしていないため影響はゼロです。

これを事実として取り上げた会社からの申立書には

「プログラムとは会社にとって資産。プログラムにミスがあったことによって会社に損害を与えた」

という内容が書かれていたのですが、これについて僕の弁護士さんが、

弁護士さん「私はプログラムのことについて詳しくないんですけど、ミスがあった場合には前の状態に戻すことはできないのですか?」

…と、損害の有無を確認しました。

事前に前のバージョンに戻せるので、損害などはないことを弁護士さんには説明しています。

これに対し、会社側に着席していた部長が回答します。

部長「戻せます」

弁護士さん「じゃあ特に損害などは発生していないということでしょうか?」

部長「…はい」

さらに裁判長からも確認の質問が入ります。

裁判長「新人を採ることはあまりないのですか?」

部長「はい。初めてのことだったこともあり、組織の若返りを図るためにも社運をかけていました」

裁判長「能力不足などを解雇理由としていますが、プログラム以外の面で損害は発生したのですか?」

部長「いえ…特に損害等が発生したといったことはありませんでした」

と、僕が会社に損害を与えていないということをその場にいた全員が確認することとなりました

そして、一度委員会だけで話し合うとのことで、一度退室を促されます。

損害がないということを会社側の証言から立証できたので、相手の顔を見る余裕ができる程度には緊張が解けていました。

専務が全員が退室するまで審判室のドアを押さえてくれたのですが、僕の時だけ顔をそらせて目を合わせないようにするのがちょっと面白かったです。

個別質問が始まりました

退室後の控え室にて、個別質問の呼び出しを待ちます。

弁護士さん「会社、言っちゃいましたね。損害ないって…」

呼び出し待ちの間に、笑いながら話していました。

だいぶ余裕を持てるようになり、これなら勝ったかなぁ…と僕は緩んできてます。

僕「今のところ、こちらが有利なんですかね?」

弁護士さん「まだなんとも言えないですね」

聞いたところ、油断してるところが伝わったのか、それとも確実なこと以外は言わないのか断言しませんでした。

なにせ次は個別質問なわけで、油断してたら適当なことを言って不利になったかもしれません。

この10分ほどの雑談中に会社が呼び出されていたようで、会社側の弁護士から、審判室に入るよう呼び出しがありました。

先ほど座っていた位置に戻って委員会の労働者側の審判員の方から質問されました。

裁判長や会社側の審判員は厳しそうな人でしたが、労働者側の審判員は気さくな感じでした。

審判員「特別ほかの同僚と仲が悪かったとかなかったですか?

僕「とくにありませんでした。食事に連れて行ってもらったり仲は良かったと思います」

審判員「会話とかも日頃から…飲みミュニケーションとかはどう?」

僕「誘われた時は全部行きました」

審判員「わからないこととかあったら自分から聞きに行きました?」

僕「はい。教育係の人が隣だったので積極的に聞いていました」

個別質問の内容はこれだけの内容で終わりで、それなりに気が張ってたので肩透かし感すらありました。

そして控え室にもどります。

僕「あんな感じでよかったんですか?」

弁護士さん「自分から何かやったって認めるようなものでもないですからね、ばっちりですよ」

退室直後、控え室でなんかヘンなこと言ったかもしれないと心配になって聞きましたが特に問題なかったようで一安心。

ちなみに僕が今回の労働審判で、口を開いた内容はこれだけでした。

数分後に会社側と同時に呼び出されます。

そして審判の結果は………

裁判長「現時点で判決を下すことも、考えを述べることもできないので、次回に持ち越します」

と、次回(ゴールデンウィークを挟んでいたので連休明けてから)に決着が持ち越されることになり、第1回目の労働審判は終了しました。

第一回目の労働審判が終わりました

事前に委員会の方々は資料にしっかり目を通していたようで、僕から新しく相手に何か主張するといったことはありませんでした。

ほとんど1回で終わるとは聞いていたけど、まぁそんなもんだよな…程度には思っていました。

しかし弁護士さん曰く

弁護士さん「あそこまで慎重な裁判長初めてです。普通なら一回目の時点で考えを示すのですが…」

と、けっこうなレアケースらしいです。

少々不安になりましたが、今後の方針について伺った際に、

弁護士さん「損害金銭的な損害はまったく発生していないと認めましたね。追加で提出する資料はこの点を突いていこうと思います」

とのことだったので、弁護士さんを信じ、会社が新しく解雇理由を提示して来たときの反論の材料を準備しておくことにしました。

この日は裁判所の入口で解散してまっすぐ帰りました。

次の記事では第二回目の労働審判前に会社が双方が提出した反論などについて書いています。