5月も終わり、北海道も暑くなってきました。信じられるか?先月まで雪降ってたんだぜ…?『なー』です。
僕は警備員の仕事に就いていたことがあります。主に電話回線の工事現場周辺の交通誘導ですね。
前回の記事で光回線の開通工事についてちらっと書いたのですが、家の中から工事の様子を見るのが新鮮だったので、かつて警備員として働いてたときの内容を書きます。
なにせずっと外側からしか見てこなかったので…
交通誘導の警備員の仕事内容

交通誘導の警備員がやることは
工事車両のある車線から車が来た場合
→反対車線に車が来ないことを確認して流す。
両方から車が来た場合
→工事車両で塞いでる車線側の車を止めて流す。交通量が多ければ一度反対車線の車を止めて塞いでる側車線の車を流す
これぐらいです。交通量が多い場所の道路工事ならけっこう大変ですが、一般家庭に光回線を引く工事であれば変わってきます。
住宅街なぞ、車通りはさほど多くありません。誘導せずとも勝手にみんな行ってくれます。歩行者も車も状況を見て自分で動いてくれることが多いです。
んなもんで極論ですが、一般家庭向け回線工事の警備員の業務内容は作業車の周りでカカシのように突っ立ってること。
警備員は事故を防ぐのが目的なので、交通事故やけが人が周りで出なければ良いのです。
そう、なにもないのが最も良いんですから、頑張りによって成績が上がったり評価されることはないのです。
警備員として働く人の傾向
頑張りどころもあんまりない業界なので、働く人も働く人です。この仕事に就く人は
他で雇ってくれないからこの業界に来た
そういう人が大半です。学歴もねぇ、考える頭もねぇからここに来たという感じ。
もちろん給料も安いです。現場に向かう車は自前(社名入りの車を使わせてくれるのはレアケース)。車両手当や交通費は出れば良い方。
中にはこの仕事に意義を見いだす人も居ます。そういう人はかなり優秀で、人当たり良くスムーズに交通整備もこなすため、作業員から指名が入ることもあります。
でもそんな人はあまりいない。10人に1人いるかどうか。そして給料も変わらない。
そんな業界故、人も集まらないから優秀な人がオーバーワークになることもしばしば。
この前うちに来た警備員がいい例でした。
どちらも年配の方で、うち一人はキビキビとした動作で誘導しており、強面で愛想こそないもののしっかり仕事をこなす印象を与える方でした。
この人より年上そうなもう1人の警備員は対照的で、旗も振らずマジで突っ立ってるだけ。それも道路のど真ん中で。
むしろ車通りの邪魔になっている始末。クロネコヤマトのトラックにクラクション鳴らされていました。
年齢的にも仕事ぶりからも痴呆が入っているんじゃないかとマジで思いましたもの。しっかりしてる方の警備員さんはかなり苛立っていました。
「テキトーに生きてたらこうなる」という悪い見本をまじまじと見せつけられた感じでしたわ。
僕が警備員になった理由
僕も例にもれず「他に雇ってくれるところがなかった」という理由です。当時は働く意欲なんてほぼゼロだったから当たり前といえば当たり前の結果。
Fランとはいえ大卒だからなんとかなると思いきや、50社近く受けても不採用…
就活シーズンも終わる年末になんとか警備会社の内定をとりました。業界も会社も選ぶ余裕なぞありません。
んなもんで同業者や現場作業員から「若いし大卒なのになんでこの業界選んだの!?」と驚かれることがしばしばありました。
僕をとりまく関係者は総じて年配の人なので、親子(あるいは爺と孫)なみに歳の離れてます。
「最近の若いのは」「ゆとり」といったお決まりのフレーズがほぼ毎日聞けます。
殴る蹴る、「バカ」「死ね!」などの暴言もけっこう飛んできます。”昭和なら許されていた”というやつですね。
警備員は自家用車で作業車の後ろをついていきます。工事する場所を教えられることはなく「黙って後ろついてこい」が基本。
工事現場も1日に複数件あるので移動も多いです。なので必死に後ろをついていきますが、
作業員は総じて運転が荒い
スピード違反は当たり前であり、信号が赤に切り替わったばかりでも遠慮なく進んでいきます。
この状況でも無理にでも作業者の後ろをついて行かないと後で怒られます。
社会的にアウトなことは当然なのですが、この仕事をするうえで、交通違反が平気でできるようにならなければ務まらないといっても過言ではありません。
スピード違反や信号無視で警察に捕まった場合も会社はもちろん助けてくれず「まぁそういうこともあるよね」と流されるのが常です。
僕が警備員を辞めた理由
僕の場合、反則金や免停…最悪の場合、事故を起こすというリスクを取ることができませんでした(当たり前の話ですが)。
さらに車にターボがついていないため発進の時点で遅れをとることもあり、作業員から毎日のように怒られていました。
昇進も望めず、将来のことを考えると不安でしかない。「入社してから最低3年は辞めない」というのが社会の常識なので辞めることに抵抗もありました。
しかし…
この仕事を続けていて、一体何が身につくんだ?
と考えると3年という時間を無駄に過ごしてしまうのではないかと思うようになり始めていました。
そしてあるとき、いつものようにバケット車の後ろを警護していました。バケット車ってこういうのね。

作業員がクレーンの先についているカゴに乗って、高所で作業を行います。
作業を終えたのか、ゴォー!という音を立てて作業員がカゴを下に降ろします。「この現場はもう作業が終わるかな」と考えていました。
すると次の瞬間。
ヘルメット越しに僕の頭をバットで殴られたようなものすごい圧力がかかり、倒れ込んでしまいました。
一体なにが起こったのかわからず上を見ると、バケット車のカゴがあり、乗っている作業員が僕を見て馬鹿笑いしているじゃあありませんか。
すぐには何が起こったかわかりませんでしたが、
作業員が乗っているカゴ部分を急発進させて、僕の頭上めがけて落としてきました。
ヘルメットがあったからケガなどなかったものの、ハンマーで頭を殴るのと変わらないようなことをしてきたわけです。
会社に相談しても「かわいがられてるだけでしょw」と相手にされることなく、これが決め手となって退職を決意しました。
入社から9ヶ月、もっと早く辞めるべきだったと思います。
もし作業の手伝いをさせられている警備員を見かけたら…
回線工事についている警備員は、ケーブルを引いたり作業の手伝いをさせられることもあります。
工事している作業員から見て警備員はヒマそうに見えます。(実際に超ヒマです)。なので、工事の人は当たり前のように警備員に作業を手伝わせます。
ちょっと手伝う方が精神衛生上よかったりしますが、これはNTTに見つかると罰金の対象になります。たしか5万円ぐらいだったはず。
作業員は1人か2人で作業をしているのですが、電柱に上ってケーブルを引いたりする場合など二人一組でやる必要がある作業もでてきます。
光回線だと、家の中のどこにケーブルを通すかといった確認も必要になってきます。ケーブルが通りそうな排気口を探したりとか。
実際に家に入ってケーブル通したりしてました。これを1,2人でやらせるとなれば、明らかに作業員の人数不足なのです。
とある作業員さんが、入社したての僕にこんな事を言ってきました。
「39度の熱があって咳も止まらない。ちょうど流行ってたし明らかにインフルエンザかかってたの。そんな状況で社長から『病院行ったらインフルエンザって診断されて休ませないといけなくなる。人が足りない状況で休まれたら困る!だから病院に行くな!』って会社から言われちゃってさー、ブラックでしょー?」
…どうやら警備員に手伝ってもらう必要があるぐらいには慢性的に人が足りないようです。
もし「警備員さーん!ちょっと部品とってー!」ぐらいの内容であればスルーしていただければと思いますが、
「オ゛イ゛!ケーブル取ってこい!早くしろコノヤロー!」
とか怒鳴り散らしている作業員がいたら是非とも通報していただければ幸いです。
僕の場合は…
・道具を忘れたから事務所に取りに行け
・客先のPCのセットアップを代わりにやれ
・タバコ買ってこい
とかそういう指示が出されました。超暇でやることがない現場から離れられるので、むしろ嬉しかったりします。
タバコ吸いながら作業する人に半年ほどついていたので、タバコの注文はけっこうありました。
ちなみに地面に吸い殻を上から投げ捨ててきます。拾うのすげー嫌だった。
やはりというべきか、作業員、警備員両方とも喫煙率は高いです。タバコ吸ってないのは僕と、携わった作業員さんに1人いたという程度に非喫煙者はレアです。
なのでタバコの煙などで体調を崩す人にとっては拷問な職業です。社内客先どこでも喫煙所状態。それでいてパワハラとか当たり前な業界…
警備員が不足すると、工事や交通誘導ができない事情もあるので国も懸念しているようですよ。
でもさぁ、
今のクソな状況で人が集まるわけないでしょうよ。
工事する作業員と警備員、双方が解決すべき大きな問題点の一つは「人間性」だと僕は考えています。
作業場所は予め教える、暴行や暴言の撤廃、仕事中に喫煙しない…
これをやるだけで相当改善すると思う…というか普通はこれぐらいデキていて当たり前の話だとおもうんですけどね。
昭和から続くような悪しき風習を、平成が終わろうとしている時代にもずーっと続いているから人が集まらねえとおもうのですよ。