「何人の社員を殺しましたか?」ブラック企業大賞に挙がった会社の面接を受けたときの話

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平成最後のブラック企業大賞、決まったね

今年のブラック企業大賞に「三菱電機」 財務省やあの大企業も

ブラック企業大賞とは、日本において、従業員に対して過労やサービス残業を強いたり、パワーハラスメントや偽装請負や派遣差別を行ったりなどが、問題視されている企業(ブラック企業)の頂点を決めるという企画であり、2012年(平成24年)に始まった。

Wikipediaより引用

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IT業界は毎年ノミネートされて、業界そのものが常連だよね

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でも、こうやってブラック企業を晒すようなイベントが話題にあがれば改善したり…

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しない

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…そこまで言い切れるのには何か理由があるの?

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学生の時、ブラック企業大賞で賞を取った会社の説明会行ったんだよ

株式会社フォーカスシステムズの説明会に参加した

時は2013年春頃。僕は大学4年生で就活してました。情報系の大学にいたので、大学に来る求人はほとんどIT系の会社でした。

そんな中「就職支援課にヤバイ会社の求人が出ている」と、就活に意欲的だった人たちの間である会社が話題になりました。

当時「ブラック企業」という言葉が流行り始めたころで、ヤバイ会社というと「ワタミでも来たのか!?」と思ってました。

そんな話題になっていたヤバイ会社というのが…

株式会社フォーカスシステムズ

株式会社フォーカスシステムズ

就活生の間では、Googleで「(社名) ブラック」と検索して、面接受けるところの会社を調べるのが慣習になってます。

で、当時「フォーカスシステムズ ブラック」と検索すると「ブラック企業大賞」という見るからにトンデモねえ単語が出てきやがりました。

この会社は2012年(ちょうど就活を始める1年前)にブラック企業大賞「業界賞」を受賞しています。受賞理由は以下の通り

2006年9月16日の深夜、当時25歳の男性が、京都・鴨川の川べりでウイスキーをラッパ飲みし、急性アルコール中毒で死亡した。720mlのウイスキー瓶には中身が2cmほどしか残っておらず、正常な判断ができれば明らかに避ける飲み方だった。

亡くなったのは、独立系IT企業「フォーカスシステムズ」(本社・東京都品川区 JASDAQ上場)に勤める、4年目のSEだった。同社は大相撲の八百長事件の調査にも使われたデジタル鑑識の大手だが、男性の仕事は3年目に急激に多忙となり、この年4~6月の残業時間は132時間、206時間、161時間と過労死基準を大幅に超過。年間トータルでは1350時間に達した。

ブラック企業大賞: ノミネート企業一覧&選考理由

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川辺でウイスキーラッパ飲み…普通の死に方じゃないな…

いかに激務であったか詳細に書かれており「ブラック企業大賞」の肩書き付き…間違いなく入ってはいけない会社です。

こんな会社に入ろうとする人はいるはずもなく、学生の間で「ここは絶対マズいよな…」と言われるばかりです。

でも当時はずっと不採用が続いてたので「PCを使う仕事で、金がもらえるならどこでもいい」という考えで説明会に参加しました。

…まぁ、そんなモチベーションない僕を雇う会社がブラックの中にもそうそうあるはずなかったのですが、それはまた別の話。



「御社は今まで何人の社員を殺しましたか?」

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で、宗教じみた洗脳系会社説明があった…とか?

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いや…説明の内容は全然覚えてない。元々入る気ない会社だったし…

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え?じゃあネタにできるほどのドス黒い話とか聞けなかったの?

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SES中心のトコの会社説明なんてどこも変わらないから印象に残らないんだよね

※SES…自社で抱えてる技術者を客先で働かせること。早い話が人材派遣

大学に来た求人は、客先常駐の会社ばっかりでした。

雇った社員を客先に売るのが中心で、自社で「こんな面白そうなことをやってるんだ!」みたいなのは一切なし。

差別化もされてないので、リフレッシュ休暇だとか、社員寮があるだの、有休取得推奨だの、どこも同じようなことを言ってた記憶しかないです。

「常駐開発をやってる企業は全部ブラック」とIT企業の社長が断言しちゃうぐらいですから、ブラックの求人しかないという今考えたら恐ろしい状況。

この時のフォーカスシステムズもそんな感じでした。

説明会に参加した学生は僕を含めて3人。みんなブラック企業ということを調べていたため、他の会社と比べてかなり少ないです。

若い社員がパンフレット見ながら会社説明しており、学生側の一番後ろの席からその様子を上司と思わしき年配の人が見守ってました。

企業側の説明が一通り終わったところで質疑応答の時間が与えられます。企業に自分を印象づける絶好の機会です。

そこで僕はこんな質問をぶつけました。

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御社は今まで何人の社員を殺しましたか?

学生も熱意ゼロで参加して、ただでさえ冷え切っていた空気は、この質問で瞬時に氷点下レベルまで下がりました。まあ当然か。

隣の学生は「お前とんでもないこと聞いたな!?」という表情をしており、見えてる地雷をフライング・ニードロップで踏み抜いた感ありました。

で、若い社員さんがものっっすごくうろたえながら場を持たせます。

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あ、あの…もともと病気されていた方で亡くなった方が何人かいましたが、あとは事故で亡くなった方もいたことがありますが…

と、ものすごくうろたえてました。

でも僕が聞きたかったブラック企業大賞で受賞の決め手となった過労死の件については触れようとせず、ごまかそうと必死です。

これを見かねて、年配の上司が後ろから出てきて、若い社員に代わって説明を行います。

「既にご存じかもしれませんが、2006年にうちの社員だった男性が、急性アルコール中毒で亡くなり、裁判となりました。

亡くなる直前に近くのコンビニで缶ビールとウイスキーを買って川辺で飲み干しました。これは業務とは関係ないことであると、ウチは主張しました。

しかし、裁判では長時間の労働が原因で精神を病んでしまい、正常な判断ができなかったと判断され、こちらの主張は認められませんでした。

残念でしたが遺族の方に賠償金を支払う結果となってしまいました。この判決を受け再発を防ぐため、定期的に話し合いの場を設けるなどの対策を取っています

業務の都合上、残業時間は改善できませんが、社員と定期的にコミュニケーションを取ることで、防ぐことができればと考えています。」

…とのことでした。

社会を知らぬ学生の身でしたが

人殺しておいて、改善策は話し合いだけか

と思いました。しかもその具体的な内容はナシ。最低でも企業内カウンセラーを用意していれば多少はアピールポイントにするだろう。

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居酒屋で上司と飲みながら「ま、お前の話もわかるけど、がんばれ」ってまとめられて終わるだけでしょ

ちょっと上司とかと飲んだり話をすれば何でも未然に防げるって、あまりにも程度の低すぎる話。

会社も立場があるのか、一貫して「会社は悪くない。勝手に死んだだけ」と主張しており、ああ…本当に反省してないんだなぁというのがよくわかります。

根本的な原因となったであろう労働時間を改善する気もZERO。ブラックなところは変わらないんだなぁと確信しました。

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それで、面接受けに行ったの?

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履歴書提出してたからね。「人を殺しても新しく雇える余裕に魅力を感じました」って言ったから余裕で落ちた

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うわぁ、皮肉たっぷり…

就職課の人は「事件を経て改善してる可能性だってあるから」って言ってましたけど、改善する気なしでした。



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事件発生から5年間も再発防止とかなにも取り組んでないって相当やばいよね

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今(2019年)ならもう10年以上前だから変わってたりとかしないものかな?

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うーん…やっぱ反省してなさそうなんだよね

これ書くに当たってWikipediaをもう一回見たんですが…

あれ?僕が就活してたときに「ブラック企業大賞」についての項目書いてあったのに消えてる…?と思って履歴を見ると…

2015年5月28日に消されてる

消したユーザーの編集履歴みたらフォーカスシステムズしか編集してないんで、ほぼ間違いなく内部の人間の仕業だよなぁこれ…

これがもしマトモなところなら…

「過去にこのような不名誉な賞を受賞することになってしまいました。このようなことが二度とないよう、自社開発に専念させ、残業をさせない体制にしました」

とか声明出したりするもんだと思うんですよ。

そして、この会社と対照的なことをやっていたのが、ブラックの代名詞と化していたワタミです。

2016年にこんな新聞広告を出していました。

「ブラック企業と呼ばれていた」という点について広告に乗っけるあたり覚悟が違います。

ワタミ=ブラックってネットで散々話題にされてましたからね。危機感持って改善に取り組んだってところでしょうか。

当時のネタをまとめたものでもこんだけありましたからね…

天空の城ワタミにありがちな事

ぼくのなつワタミにありがちなこと

暇人\(^o^)/速報 : 美ッ樹ー「ワタミーランドへようこそ!」

今見ても面白いw当時は「黒色」の話題が出たら「ワタミカラー」とか言われるぐらいでしたからねえ。

ところがここにきてワタミは着実に改善しています。

「社員誰かが死ぬ」よりも、こうやって「ブラックの代名詞になる」ぐらいにならないと意識は変わっていかないもんなのかなぁと思ったりします。

人の命よりもイメージの方が大事ってのもヒデーもんだと思いますがね。