「ネット・ゲーム依存症」は病院の陰謀説! – 香川県の「ネット・ゲーム規制条例」について ♯2

今回の記事も先月からずっと話題になり続けてる香川県の「ネット・ゲーム条例」についてです。

前回のはこっちから。

「ネット・ゲーム依存症対策条例」ってそもそも制定無理じゃねって話 – 香川県の「ネット・ゲーム規制条例」について ♯1

今回は、ゲームやネットのやり過ぎが病気のように扱われてるけど「そもそもゲーム依存症ってあるのか?」って所から考えてきます。

2018年6月にWHO(世界保健機関)が「ゲーム障害」を精神疾患の1つとして認め、最新の第11版(ICD-11)に加えることを発表しました。

これにより

「WHOが認めたんだから『ゲーム障害』はある!ゲームは悪!対処が必要だ!!」

と、なんとかしてゲームを規制(あわよくば殲滅)したい方々は、WHOという大きな権威性を持ってしまったわけです。

しかし、実のところWHOによる「ゲーム障害」の認定にはヒジョーに疑わしいモノがあったりします。



WHOに「ゲーム障害」を認めさせた方法

話はゲームから変わりますが、この記事を読んでるアナタに1つ質問。

「喫煙はアルツハイマー予防になる」という研究結果を信用しますか?

とある研究機関が「喫煙はアルツハイマーの改善・予防の効果がある」という研究結果を発表しました。

喫煙者ほど患者が少なく、ニコチンにより症状の改善が認められたという研究結果は週刊誌で「喫煙者に朗報!」と大きく取り上げられていました。

…さて、この研究結果を発表した“とある研究機関”というのは「喫煙科学研究財団」という公益財団法人です。

この団体には、日本たばこ産業(JT)が設立時に20億円ほどの寄付をしており、毎年3億5,000万円の研究寄付金を出しています。

※財務省 財政制度等審議会 たばこ事業等分科会

研究報告の内容はこちらを参照。

要は、多額の研究費用を出してくれるスポンサー様がバックにいる研究だったワケですね。

そうなると発表するにも億単位のカネを出してくれたスポンサーの顔色を伺う必要もでてくるわけで、中立性はヒジョーに疑問です。

正誤はともかく、「喫煙にもいい効果がある!」ってJTに都合が良いですからね(ちなみにこの研究を否定する2万人以上を対象にした信頼度の高い調査結果があったり)。

この例みたく、企業が裏で金出して都合の良い研究結果を発表するというロビー活動は珍しくなかったりします。

さて話をゲーム障害の方に戻しましょう。

「ゲーム障害」とか「ゲーム依存」を提唱し始めたのは、久里浜医療センターの樋口進院長。

本も出してますね。

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久里浜医療センターは、日本で初めてネット依存を専門に取り扱う部門を作った病院というけっこう権威ある病院です。

この院長にインタビューした記事がハフィントン・ポストにありました。

WHO「ゲーム依存」疾病認定までの6年間、舞台裏の記録

インタビューでは、WHOに「ゲーム依存」という病気を認めさせるまでの苦労が書かれています。

現在使われているWHOの国際疾病分類第10版(ICD-10)が改訂されたのは30年近く前…当然古いので「ゲーム依存」「ネット依存」はありません。

しかし。2019年に国際疾病分類は改訂され、2022年には第11版(ICD-11)が正式に発行されます。

時代は大きく変わりネットやゲームが普及していることで「ゲーム依存」「ネット依存」もあるだろう…と思いきや、どちらも草稿の段階からありませんでした。

これに大きなショックを受けた院長はWHOに「ゲーム依存を病名に入れるべきだ!」としつこく提案し、プロジェクトを始めさせることに成功します。

ところがWHOには研究に着手できるだけの予算がありませんでした。

なんとしてもゲーム依存を認めさせたい院長は、WHOに予算を提供し研究を進め、ついに「ゲーム依存(gaming disorder)」を認めさせました。チャンチャン。

…おおよそ書いてある内容はこんな感じですが、ここで1つ

この研究は果たして中立性があるのか?

という疑問が出てきます。

草稿からゲーム依存なんて考慮されてないわけで、WHOはこの問題を研究する予算をまったく組んでなかった可能性が大いにあります。

もちろんこの”投資”が成功して「ゲーム依存」が正式に病気として認められたなら、病院としては患者が来るのでとても儲かります。

なんせ久里浜医療センターって日本で初めてネット依存を専門に取り扱う部門を作った所なんだから、

うちの子ネットやる時間多いから…とりあえず日本初の権威ある病院に見てもらおう…

って金づるがじゃんじゃん来ますし、ケガやウイルス感染とか緊急性もない案件で病院はウハウハでございます。

まぁ病院の利益という点についてはあくまで推測ですけどね。

でも先ほどの喫煙による研究と同様に資金提供もあり、研究結果によっては利益に繋がるわけで…

WHOにいくら渡した?

という邪推が出来てしまいます。

んなもんで、この研究は中立とは言いがたいものがあったりします。



「ネット・ゲーム依存」を疑問視する論文の多いこと

まず「『ネット・ゲーム依存』についてちゃんと調べたのか?」という疑問があります。

「インターネット依存について書かれた論文」を複数調査したメタ分析が日本にも論文として上がっていました。

日本における「インターネット依存」調査のメタ分析

これによると

・ネット依存かどうか判定するテストは、ギャンブル・アルコール依存のテストから項目を転用したもので根拠に乏しい
・利用時間が長いとかによる定義や根拠なし
・調査対象が若者に偏っており、非若者層を対象とした調査がごく一部しかない

という調査内容が書かれています。

さらに「『ゲーム依存』は病気なのか?」という点についても疑問が大いに残ってます。

米国科学アカデミーが発行する学術雑誌プロナスにも「ゲームに熱中する若者に『中毒者』呼ばわりはどうなのよ?」って論文があります。

News Feature: Is video game addiction really an addiction?

文中では何かに熱中し続けることを中毒と認定することを批判しております。

この論文内に「うつ病で一日中ベッドにいるからって『ベッド中毒』とは言わないでしょう」と、ステッソン大学のクリス・ファーガソン教授の言葉がありますが、本当にその通りだなあって。

WHOよりアップデートの間隔が短く、かつ2013年に改定が進んでいるアメリカ精神医学会(DSM)でも「証拠不十分」と、ゲーム障害の認定を却下したことが描かれています。

さらにさらに「『ゲーム障害』の認定はかえって害だからWHOは『ゲーム障害』をICD-11から削除しろ」という論文も出ています。

Scholars’ open debate paper on the World Health Organization ICD-11 Gaming Disorder proposal | Journal of Behavioral Addictions

これを書いたのはコペンハーゲン大学、オックスフォード大学、ミュンスター大学、ストックホルム大学、シドニー大学…など世界最高峰の研究機関に在籍する学者達です。

・ゲーム依存についての内容が、ギャンブルや薬物使用の内容に依存しすぎ
・サンプル数が少なく研究不足
・「ゲームが危険」と親が認識してしまい、健全に遊んでる子供との関係が悪化し、永続的な子供への虐待の可能性あり
・ゲーム障害の治療と称した「軍隊式キャンプ」に参加させられる子供がすでに居て、子供の権利をいくつも侵害している。
・WHOは子供の権利を守るためにも、この研究不足なゲーム依存の病気認定を撤回せよ!

とけっこうボロクソに書かれています。

このようにゲーム障害を病気認定するだけの証拠が不十分という問題点が日本国内外からも出てるわけで、WHOになんか働きかけてないか?って思うわけですよ。

『ゲーム障害』という病気を認定した場合の問題点もポンポン出てくるわけで、やっぱり病気扱いするのはマズいですよねぇこれ。

ゲームを規制したいためだけに動く人達

ゲームを規制しようとする動きというのは今に始まったことではなく、それこそファミコン時代からあります。

特に僕が小学生の頃にちょうど、エセ科学の金字塔(笑)たる「ゲーム脳」が大いに話題になりました。

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学校でもゲーム脳を根拠に「ゲームを辞めさせよう」というプリントが配られた思い出があります。

ゲーム・パソコンが大嫌いという理由で批判的という先生方って結構多いのですよ…

現在では研究に間違いや問題点が数多いことが次々明らかになり、ゲーム脳は今となってはニセ科学の代名詞となっています。

しかし大々的に取り上げられた割に問題点は報じないため、情報源がテレビ・新聞だけの層を中心に、未だゲーム脳を支持する人は少なくありません。

将棋や囲碁などと同じ遊びの1つを「自分がよくわからないゲームというものだから」という理由だけで取り上げようとする大人からしてみれば

「『ゲーム依存』は病気だ!」

…という国際機関による病気認定は、子供達に気軽にブン回せる権威性が高い武器になります。

もし自分が面白いと思ってやってることを病気とか言われて、親に取り上げられたら、どんな歪み方して育っただろうか…考えるだけで怖えですよ。