スガイディノスの社長のセミナーに参加した話:前編 ~スガイディノスの歴史と今後~

2019年も終わろうとした頃に、道新にこんなニュースがありました。

「ディノス」映画館復活 札幌・狸小路に6月にも:北海道新聞 どうしん電子版 

今年6月まで映画館「ディノスシネマズ札幌劇場」を運営していたスガイディノス(札幌)は3日、来年6月にも札幌・狸小路で「サツゲキ ディノスシネマズ札幌劇場」として映画館を再開する方針を固めた。

 貸しホール「札幌プラザ2・5」(中央区南2西5)を運営する谷井(札幌)と賃貸契約を結び、同プラザを29~200席の4スクリーン計427席に改修する。200席のスクリーンにはデジタルレーザーの映写機を導入。旧札幌劇場同様、大手のシネマコンプレックス(シネコン)では扱わない作品を中心に上映する予定。

ここは「東宝プラザ」だった頃にトイストーリー2を見に行った記憶があります。

no-image

映画館は復活するけど、ゲーセンはどうなんだろう?

no-image

秋頃にオープン予定ってニュースあったけど、もう12月なんだよね……

札幌市中央区のゲーセンというと、高架下のマキシム、エスタ9Fとサッポロファクトリーのナムコ2店、すすきののラウンドワンぐらいしかない状況。

国内最大なのではないかという規模でレトロゲーが大量に設置されていたお店ですから、なんとか復活してくれないかなーとやきもきしてます。

っつうのも閉店直後にスガイディノスについての思い出や、閉店イベントについて書いたことがあります。

スガイディノスは最高だったぜ…

この時には今年の秋頃までにオープンする予定だったという報道が出てましたが、12月になってしまいましたね…

そんなときに、行きつけのゲームバー店長であり、元々札幌駅前でゲーセンをやっていた方より「スガイの社長のセミナーやるけど来ない?」とお誘いがありました。

予定も空いており、ちょっと興味あったので行ってみることにしました。

誘われた時点では「通ってた人向けに今どんな感じか説明するんかなー」程度に考えていたのですが、直前に冊子を見せてもらうと…

主催者は北海道SATO社会保険労務士法人、開催場所は職業紹介や人材派遣業のキャリアバンクのセミナールームです。

けっこうガチなビジネス系のセミナーでした。

で、会場入りするとスーツ着たビジネスマンがずらずらと座っています。

私服なのは僕と店長ぐらいで、ビジネスのノウハウを聞く系と知らずに現地に行ってしまいました……

配られた資料からも気軽に話を聞きに行くようなところではないことがなんとなーくわかります。

黒のブロードシャツとジャケットであまりラフじゃない格好なので、TPO的にはギリギリアウト程度で済んだかも…

「なんかスゴイ場違い感ありますよー」と店長と話してたら社長が登壇。話が始まります。

最初はディノス閉店祭の様子が入った動画を紹介し、閉店の時にどんな感じだったのか紹介されます。

それから、(社長に就任して30年弱なので伝聞を含めた上で)スガイのルーツに触れていきます。



スガイディノスのルーツ

ルーツについては以前から写真付きで掲載されているページもあったりします。

SDエンターテイメントのDNA

これに書いていないことを含めて、語ってくれました。

元々は「須貝興行」として、芝居小屋からスタートしています。

戦後に多くの映画館がアメリカ軍に摂取されて不足してた頃に、松竹直営の洋画封切館を運営して「風と共に去りぬ」を大ヒットさせます。

北海道だけでも連日満員のとんでもないヒットとなり、映画事業を中心に運営していくこととなります。

しかし、カラーテレビが普及しはじめて客足が急激に低下。

この状況を打開するために、東京でボウリングが流行ったことを聞きつけて、今度はボウリング場を経営。

これもまた大当たりし、ボウリングがヒットすると、バンバン映画館を潰してボウリング場に建て替えていきます。

この時1968年、札幌劇場を潰して僕が知っているスガイビルが建てられます。

スガイビルが建ってから

須貝ビルが経ったのは1968年10月、50年以上も経ってます。

スガイディノス自体は閉店していますが、入居しているライザップやカラオケまねきねこは営業を継続しています。


画像引用 – 朝日新聞デジタル

んでもって、2019年12月現在のスガイビルの写真がコレ。

看板が違ってる以外はそのまんま残ってます。

当時1階にはテナントとして、今は会社自体がない「YESそうご電器」が入ってました。

しかし、ボウリングが一大ブームとなったことでボウリング場がどんどん増えていったため、供給過多になり売上げが大幅ダウン。

さらにオイルショックも重なって、はじめて赤字を出すことになります。

赤字を減らすために、ボウリング場を建てて3ヶ月しか経過してないのに閉店した店舗もあったとのこと。

このわずか3ヶ月で閉店した店舗というのが、今の札幌北33条のヤマダ電器(札幌北ICのすぐそばにある店)。

店内は段差や坂が多く、レジのカウンターすぐそばにトイレがあるなど、言われてみたら元ボウリング場というのも納得な構造になってます。

そうしてボウリングが儲からなくなっていくと、今度は『燃えよドラゴン』『エクソシスト』『ジョーズ』などの映画ブームが再び到来します。

映画の売上げが上向いたこの頃、スペースインベーダーを映画館においていたら、これがけっこう好調。

このインベーダーのヒットを受け、スガイビル1階すべてが直営ゲームセンターになります。

この頃、映画館もシネコンが主流になり、6~8階をシネコンに改装(北海道で最初にシネコンをやったのはスガイだったり)。

ゲームセンターも1階と2階の2フロアに拡大して、地下にメダルコーナーが行き閉店までこの体制でした。

この頃のゲームは様々な技術革新があった時代最先端のゲームを遊べるように値段を気にせず筐体を買いそろえていったらしいです。

「3000万円の筐体?10台買ってこい!」という指示があったり、なかなかぶっ飛んだ経営していた模様。

セミナーで話してた内容から、3000万円もした筐体というのは間違いなく「リッジレーサーフルスケール」です。

これは日本全国でも流通数の少ない珍しいゲームです……というのも筐体が本物のユーノス・ロードスターだから。

価格はもちろん筐体が大きすぎるので、当時よくあった個人経営のお店とかに流通もせず、出回ってない機種です。

…と、元々映画館だったのがボウリング場になり、ゲーセンになって映画館に戻してシネコンになってシアターが増えたり…

色々と大規模な改装していった結果、今回の閉店理由の1つである耐震性の問題に繋がっていくことになったらしいです。



GEOやライザップと提携。その後…

その後プリクラや太鼓の達人を筆頭とした人気音ゲーが出てきますが、業績は徐々に悪化していきます。

ここでレンタルビデオなどをやってみるかということになり、中古ゲームやレンタルビデオを手がけるGEOと提携し、2009年に「ゲオディノス」に変えて完全子会社化。

僕が一番行ってたころがこのあたりですね。

白石のディノスにGEOが併設されてたり、スガイビルのスタッフもGEOのロゴが入ったピンク色のポロシャツを着ており、結構GEO色は強めでした。

企業風土の変化後は経営も業績も安定したものに変わっていきますが、リーマンショックにより利益は急激にダウン。

当時のGEOはフィットネスやインターネットカフェも手がけており、スガイはこの2つの事業を譲り受けます。

no-image

フィットネスとかジムってあったっけ?

no-image

道内にはなかったっぽい。ネカフェは狸小路3丁目のドンキがあったビルの地下にあった

ゲーム事業が小さくなっていく一方で、譲り受けたフィットネス事業が好調となり、スガイはフィットネスの法に力を入れていくことになります。

その結果、カルチャーに重きを置くGEOとフィットネスに重きを置くスガイとで、事業が離れていくこととなります。

そして2014年、ライザップを運営する健康コーポレーションと資本提携し、名前を「SDエンターテイメント」に改めます。

この頃って、例のブゥーッチブゥーッチ…ペーペケッペッペペ-ペーペペ♪って回るCMやって話題になってた時ですね。

この年に地下2階にあったビリヤードがなくなってライザップになってました。

2Fのレトロゲーコーナーにあったエレベーター全面にステッカーが貼られて「今話題のヤツじゃん!」って驚いた覚えがあります。

ところが2018年、ライザップは本業とは全然違った事業もどんどん買収していった結果、業績が低下してしまいます。

利益が出ない事業整理を行いますが、その対象にSDエンターテイメントが含まれていました。

ゲームなどの事業がヘタをすれば無くなるところでしたが「スガイだから助けます!」と出資してくれた公認会計士の方が現れました。

no-image

すげー…!神様じゃん!

この方の会社を親会社として、新たにエンターテイメント事業を手がける「株式会社スガイディノス」が設立されます。

閉店のイベントのときに会長が挨拶してましたが「北海道民にとって『スガイディノス』ってのは必殺技なんです!」と言っていたことをよく覚えています。

かくして須貝工業の時代から創業100周年を迎えたスガイディノスは、会社を新しくしたうえでスタートするとのことでした。

……後編に続く。

スガイディノスの社長のセミナーに参加した話:後編 ~スガイディノスの今後~